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海外向けマンガでは韓国が先行中。ネットの覇権を占う縦スクロールマンガ、日本はまだ間に合うか?

韓国のWebtoon(ウェブトゥーン:日本で言う縦スクロールカラーマンガ)が、米国発で世界中に展開する巨大ネットメディア、ハフィントンポストに提供されています。

単純な翻訳ではない海外のオーダーメード製作
北米マンガ愛好家500万人にラブコール
「韓国ウェブトゥーンには競争力がある」


韓国は国内に大きな漫画市場がなかった反面、ウェブトゥーンでは日本に先行し、それがために海外進出が加速化していることは一般に知られています。 

ウェブトゥーンは新しいコンテンツ、韓国発サービス モデル”

「昨年からウェブトゥーンは海外進出を積極的に始めた。 今後10年間で韓流の核心になるだろう」と話すのは、情報通信技術(ICT)民間戦略説明会でのハンソンソクNAVERサービス総括理事。

 つまり、国ぐるみで韓国はWebtoonを世界に発信しようとしています。

 

日本では、お役所がビジネスに口を出すことにはあまり良い印象がないようには思いますが、韓国については韓流スターやサムソンブランドなどの進出は国ぐるみの総力戦で、そして見事に成功しています。

クールジャパンといわれて、、、というか言い出してしまって久しいですが、海外に日本の漫画を売っていくに辺り、毎年世界で10億台スマホが出荷される時代の中、スマホに最適化した縦スクロールマンガで世界に進出するということは、合理的な戦略と言えると思います。


米国に進出したWebtoonの実力?

韓国企業の海外進出力は本物です。スマホやTVなどの電器製品において日本メーカーは韓国に対して厳しい戦いを強いられています。

エンタメ分野においても、日本のお家芸AKB商法が海外進出して久しいですが、韓流アイドルと比べて、ライブの箱の大きさは収容人数が一桁二桁違うという話もあります。(もともとそういう商法だという話もありますが。)

 

さて、最初の記事では、米国ハフィントンポストに韓国勢がWebtoonを提供ということですので、実際に見てみましょう。

http://www.huffingtonpost.com/news/webtoon/

おお、なかなか頻繁にアップされているようです。

 

掲載が一番古いのは今年の8月、AMANZAという作品のプロローグのようです。(日本では『ガンカンジャー』と名前でレジンコミックスで読めます。かなり話題になりました。)

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あれ?

 

今度は、最新のページでも見てみました。中でも一番反響があったのが以下

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あれれ?


一応、最新10本くらいのマンガの中で最もSNSボタンの数字が大きいものを選んでいますが、それほど話題にはなってないようです。ちなみに『ガンカンジャー』は、日本においてそれなりに話題になっており(良い話です。)恐らく、日本でのほうが読まれているのではないでしょうか?


SNSボタンだけ見るとこちら。

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米国ハフィントンポストの全てを確認したわけではないのですが、Webtoonはだいたいこんな感じなのかなーと。(ちなみに、mangaというカテゴリがあるのですが、あんまり変わりません。)

うん、

これ、今からでも間に合っちゃうかもしれませんね。


世界に縦スクロールマンガを持っていくのは、まだまだこれからのチャンスと見ました。それでも、今はまだ大丈夫かもしれませんが、ライバルを軽視することは百害あって一利もありません。やっぱり韓国の動きはとても早いですし、早晩次の手を打ってくることは必定です。日本もいち早く、アクションする必要があると思います。

 

改めて縦スクロールマンガを描いても良いですし、思い切って既存の日本マンガを縦スクロールにカスタマイズする工夫をしても良いかもしれません。

comicoの縦スクロールマンガを紙の単行本で発刊する際、苦労して縦スクロールマンガを紙の漫画に再編集したということがありました。それであれば、制限は沢山あれど、逆もまた出来るのかもしれません。

 

ところで、縦スクロールマンガはどうやって作るの?

ということで、世界に進出したい方、縦スクロールカラーマンガで活躍されたい方には、comicoさん制作のこちらの本が、技術的にも振る舞いに関するノウハウ的にもおすすめです。


また、実際にどんな人が関わり、どんなことをしているのか、詳しいことが知りたい方には丁度良いセミナーがあります。

 

縦スクロールマンガや電子書籍プラットフォームについて、漫画家の目線から質問するクロストークイベントを行います。

デジタルコミックの描き方と稼ぎ方 ~気鋭漫画家×comico×ebookjapanクロストーク

この本を題材に、comicoさんから本書の編集者企画者の大藤さんと、老舗プラットフォームebookjapanさんからは『でんしょのはなし』編集者の宮坂さんが参加、縦スクロールマンガを早くから作っていた、漫画家の萱島雄太さんとともに、デジタルコミックの未来の表現と稼ぎ方についてクロストークを行います。

 縦スクロールマンガについて考えるところの多い方も多いと思いますが、実際に何を考えて作られているのか、会場に足を運んで聞いてみてはいかがでしょうか。